実務ガイド

協力会社の一覧、何列ありますか

評価の列を3種類つくって、3種類とも消した話

2026-09-30読了目安 6分

協力会社の一覧を作るとき、最初に悩むのは「何を列にするか」です。

会社名と電話番号だけでは足りない気がする。かといって何を足せばいいのかも分からない。とりあえず思いつくものを並べてみる——得意分野、対応エリア、単価感、評価、最終連絡日、次回アクション。

そうやって作った表が、半年後にどうなっているか。会社名と電話番号だけが埋まっていて、右のほうは全部空欄、というのがいちばん多い形だと思います。

以前、協力会社の管理、エクセルのどこが壊れるかという記事で、その表が壊れる4つの形を書きました。そこでは「列を増やすほど埋まらなくなる」とだけ書いて、じゃあ何列にすればいいのかには答えていませんでした。

この記事はその続きです。答えを先に書きます。

列は、事実の列と判断の列に分かれます。事実の列は埋まります。判断の列は埋まりません。

これは意見ではなく、自分たちで作って消した結果です。

評価の列を3種類つくって、3種類とも消した

私たちは営業管理のソフトを作っています。取引先の表を作る道具そのものを作っている側です。

その開発の途中で、「この会社は今どのくらいの関係か」を表す列を、3種類つくりました。そして3種類とも消しました。 順に書きます。

1つめ:会社の状態を7段で持つ列(2026年7月31日に撤去)

未接触/初回商談済み/2回接点済み/関係構築中/案件紹介発生/案件進行中/継続パートナー。この7段を、会社ごとに1つ選んで持つ列です。

考え方としては自然でした。関係は浅いところから深いところへ進むので、その段を持てば表を並べ替えられる。

うまくいかなかったのは、段が上がる瞬間を誰も操作しなかったからです。 2回目の打ち合わせが終わっても、誰かが表を開いて「2回接点済み」に変える動機がない。変えなくても仕事は進みます。結果、表のほとんどが「未接触」のまま、実際には何度も会っている、という状態になりました。

2つめ:関係の育ち具合を5段で持つ列と、その点数(2026年8月4日に撤去)

種まき/関係構築中/信頼確立/案件創出/コアパートナー。これに点数も付けていました。

1つめより手が込んでいるぶん、問題も重くなりました。「信頼確立」と「案件創出」の境目を、見る人によって同じ場所に置けなかった。 迷うので後回しになり、後回しにしたまま忘れます。

さらに悪いことに、1つめの7段と、この5段の両方に「関係構築中」という同じ言葉がありました。 画面の別の場所に同じ言葉があって、意味が違う。列を足しすぎたときに起きやすい形です。

3つめ:キーマン度を4段で持つ列(2026年8月12日に撤去)

先方の担当者ごとに、高/中/低/不明。

これがいちばん筋が悪かった、といまは思っています。基準が完全に個人の中にあるからです。 ある人を「高」にするのは、決裁権を持っているからかもしれないし、単に話しやすいからかもしれない。表には「高」としか残らないので、後から見た人にはどちらか分かりません。

属人化を減らすために作った列が、属人化した判断を、事実の顔をして表に残していました。

3つに共通していたこと

並べてみると、3つとも同じ形をしています。

消した列 何を入れる列か 誰が決めるか
会社の状態(7段) 関係がどこまで進んだか 見た人の解釈
育成ステージ(5段)と点数 関係がどのくらい育ったか 見た人の解釈
キーマン度(4段) その人がどのくらい重要か 見た人の解釈

どれも「度合い」です。そして度合いの基準は、表の外——人の頭の中にあります。

協力会社の表の列は、2種類に分かれる 事実の列=見ればわかる → 埋まる 会社名 その会社の誰と話しているか 最後に会った日(記録から数える) 契約書の名前と締結日 判断の列=解釈が要る → 埋まらない 会社の状態(7段) 2026年7月31日に撤去 育成ステージ(5段)と点数 2026年8月4日に撤去 キーマン度(高・中・低・不明) 2026年8月12日に撤去 基準は表の外(人の頭の中)にある 見ればわかることは埋まる。解釈が要るものは埋まらない。 自社の製品で3つとも作って、3つとも消した結果
私たちの表にあった列を2つに分けたもの。右の3つは、作ってから2週間〜1か月で消した

一方で、同じ表の中でずっと埋まり続けていた列もありました。会社名。誰と話しているか。最後に接点があった日。NDAを交わした日。

こちらは全部「見ればわかること」です。 解釈が要りません。

既定値が、いちばん静かに嘘をつく

判断の列には、もうひとつ副作用があります。

私たちは温度感(相手との関係の温かさ)という列に、最初は「中」という既定値を入れていました。何も選ばなければ「中」になる。空欄よりは親切だろうと思ったからです。

結果として、誰も判断していない会社が、全部「中」と表示されていました。

これは空欄よりずっと悪い状態です。空欄なら「まだ見ていない」と分かります。「中」と書いてあれば、誰かが見て、中だと判断したように読めます。判断していないのに。

いまは既定値を入れず、未設定のままにしてあります。判断の列を持つなら、空欄を許してください。 空欄は欠陥ではなく、「まだ決めていない」という正しい情報です。

残した列と、残し方を変えた列

消したあとに何を残したか。ここが本題です。

事実の列は、そのまま残す

会社名/その会社の誰と話しているか/契約書の名前と締結日。この3つは手で書く列のまま残しました。書けば正しいし、半年後に見ても意味が変わりません。

「最後に会った日」は、列にしない

これがいちばん効きました。

「最終連絡日」という列を作って手で更新するのをやめて、やり取りの記録のほうから数えることにしました。

やり取りを1行ずつ残していれば、その会社のいちばん新しい行の日付が「最後に会った日」です。人が更新する必要がありません。更新されない列がひとつ減って、しかも精度が上がります。

Excelでもできます。シートを2枚に分けてください。

  • 1枚目=会社の台帳:1行=1社。会社名、担当者名、契約書、備考。
  • 2枚目=出来事の記録:1行=1回のやり取り。日付、会社名、誰と、何を話したか。

そのうえで、1枚目に列を1つだけ足します。

=IF(MAXIFS(出来事!$A:$A, 出来事!$B:$B, A2)=0, "", TODAY() - MAXIFS(出来事!$A:$A, 出来事!$B:$B, A2))

(出来事シートのA列=日付、B列=会社名、台帳のA2=その行の会社名の場合。まだ1行も記録の無い会社は空欄のままになります)

これで「最後に会ってから何日か」が、誰も更新しないのに毎朝正しくなります。 2枚目に1行足すだけで、1枚目が自動で新しくなる。2枚目に行を足す動機は、判断の列と違って自然にあります。今日会ったから書く、それだけです。

紙でやるなら、台帳と訪問記録を分けて綴じるのと同じことです。考え方は道具に依存しません。

「重要そうな人」は、度合いではなく役割で持つ

キーマン度を消した代わりに置いたのは、2つの事実でした。

  • この人が案件を持ってきている(紹介の実績があるか)
  • この人が発注先を決めている(決める立場か)

どちらも「高・中・低」ではなく、あるかないかです。迷いません。そしてその人が辞めた・異動したという事実も、一緒に残します。

この形にすると、表が別のことを教えてくれるようになります。担当者が辞めたときに「何を失ったか」が表に残る。 案件を持ってきていた人が辞めたのか、決めていた人が辞めたのかで、次の手が変わります。ここは元請の担当者が代わってから、声がかからなくなったに詳しく書きました。

明日できること

いま手元に協力会社の表があるなら、列の見出しを1つずつ見て、2つの質問をしてみてください。

  1. この欄は、見ればわかることか。それとも誰かの判断か。
  2. 半年後に別の人が同じ会社を見たとき、同じ値を書くか。

2番目に「たぶん書かない」と答えた列が、埋まらなくなる列です。消すか、空欄を許すか、どちらかにしてください。空欄だらけの列を残したまま運用すると、表そのものが信用されなくなります。 「どうせあの表は当てにならない」と一度思われたら、埋まっている列まで読まれなくなる。これがいちばん高くつきます。

効いているかどうかは、受注額では測れません。3か月後に、同じ数え方を1回してください。

「見出しのある列のうち、8割以上埋まっている列はいくつか」

この数が増えていれば、表は生きています。列の数ではありません。

私たちの道具の話(ここだけ宣伝です)

リレーションログは、いま書いた考え方をそのまま形にした営業管理のソフトです。

会社の一覧に並ぶのは、最後に接点を持ってから何日か、接点が何回あったか、進行中の案件と受注がいくつか——全部、記録から数えた事実です。手で更新する「最終連絡日」の列はありません。NDAや契約書を交わした相手には印が付きます。人には「案件を運ぶ人」「決める人」という役割と、退職・異動の事実を持てます。

しばらく接点の無い取引先や、長く会えていないキーマンは、こちらが思い出す前に画面のほうから名指しで挙がります(90日が基準です)。

いまお使いのExcelは、そのままアップロードすれば列を読み取って取り込めます。作り直す必要はありません。

ただ、この記事の中身はExcelでも紙でも実行できます。 台帳と出来事を2枚に分けて、判断の列を減らす。これだけで、道具を変えなくても表は生き返ります。道具が要るのは、記録を残す手間そのものを減らしたくなってからで十分です。

関連:協力会社の管理、エクセルのどこが壊れるか(壊れる4つの形)/機能と料金

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この記事を書いた人 設楽 義朗(株式会社リレーションベース 代表取締役)
MSP・Web制作会社・SIer とのパートナー営業を長年担当。「案件になる前の関係」を残すために、リレーションログを企画・開発している。

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