協力会社の管理、エクセルのどこが壊れるか
元請・協力会社の一覧が使われなくなる4つの理由と、残しておくべき4つの事実
「あの元請さん、最後に電話したのいつだったかな」 「去年はよく声をかけてくれたのに、今年は一度も見積依頼が来ていない気がする」 「協力会社の一覧はある。ただ、最後に更新したのは2年前」
電気工事・設備工事の会社では、協力会社や元請の一覧を Excel で持っていることがほとんどです。それ自体は悪いことではありません。最初は Excel が正解です。 立ち上げが速く、誰でも触れて、費用がかからない。問題は、その表が壊れる場所がだいたい決まっていて、しかも壊れたことに誰も気づかないまま何年も使われることです。
「協力会社の管理」には、性質の違う仕事が2つ混ざっている
この言葉が指しているものは、実は2つあります。
ひとつは施工のための書類管理です。建設業許可の番号と有効期限、労災や賠償責任保険の証書、作業員名簿、安全書類。現場ごとに提出が要り、期限が切れれば現場に入れません。これは締め切りのある事務で、間違えると即座に困るので、たいていの会社できちんと回っています。
もうひとつは付き合いの管理です。この会社から去年いくら仕事をもらったか、窓口は誰か、最後に顔を合わせたのはいつか、契約書は交わしてあるのか。こちらは締め切りがありません。3か月放っておいても、今日は誰も困らない。だから後回しになり、そして忘れられます。
Excel が壊れるのは、ほぼ後者です。前者は「期限が切れた」という形で必ず誰かが気づきますが、後者は「気づいたときには他社に切り替わっていた」という形でしか表に出てきません。
付き合いのほうの表が壊れる、4つの場所
1. 「最後に連絡した日」の列だけが、誰も更新しない
一覧に「最終連絡日」の列を作ったことがある会社は多いはずです。そして、その列が生きている会社はほとんどありません。理由は単純で、電話を切ったあとに Excel を開いて日付を打ち直す人がいないからです。現場から戻って、見積を作って、明日の段取りをして、その合間に表を開く動機がない。
結果として、その列は「作った日から一度も動いていない列」になります。空欄よりたちが悪いのは、古い日付が入ったまま残ることです。半年前の日付を見て「まあ最近話したな」と思ってしまう。
2. 同じ会社が2行になる
「株式会社◯◯電機」と「(株)◯◯電機」、「◯◯電機(本社)」と「◯◯電機 東京支店」。営業担当が2人いれば、ほぼ確実に起きます。片方の行には去年の受注実績が、もう片方には今年の窓口の名前が入っていて、どちらを見ても全体が分からないという状態になります。
厄介なのは、行が2つあること自体は誰も困らない点です。困るのは、その会社に関する判断をするときだけ。つまり、いちばん判断を間違えたくない瞬間にだけ効いてきます。
3. 担当者の欄が、辞めた人の名前のまま
これが実務でいちばん高くつきます。付き合いは会社ではなく人に付いているので、先方の担当者が異動・退職した時点で、取引は静かに終わりに向かいます。 発注は止まりますが、断りの連絡は来ません。ただ、来なくなるだけです。
一覧の担当者欄はその人の名前のまま残るので、表を見ているかぎり異常には見えません。半年後に「そういえば最近来ないな」と気づいたときには、後任の方はすでに別の協力会社と組んでいます。
4. 契約書がどこにあるか、誰も分からない
NDA を交わした会社、基本契約まで進んだ会社、名刺交換だけの会社。これが一覧の上で区別されていないと、「この案件をどこに流せるか」が毎回、社長の記憶頼りになります。 書類はキャビネットにあるのに、一覧の上には存在しない。ここが分かれていないせいで、契約済みの相手を後回しにして、契約していない相手に話を持っていってしまうことが起きます。
直し方は「列を増やすこと」ではありません
ここで多くの会社がやるのが、列を足すことです。最終連絡日、契約状況、確度、次回アクション。気持ちは分かりますが、列を増やすほど埋まらなくなります。 埋める作業が誰か1人に集中し、その人が忙しくなった瞬間に全部止まるからです。
壊れる原因は列の不足ではなく、「更新する動機が、記録する人の側にないこと」です。だから解き方は、記録の量を増やすことではなく、記録する場所を「営業の作業をした流れの中」に置くことになります。
最低限、どこかに残しておきたいのは4つだけ
Excel で続けるにしても、道具を変えるにしても、押さえるのはこの4つで足ります。
会社、その会社の誰と話しているか(人の名前)、最後に接点を持った日、契約書の名前と締結日。
売上の推移も、確度も、まずは要りません。この4つがあれば、「3か月以上話していない取引先はどこか」「担当者が辞めた会社はどこか」「契約まで進んでいる相手はどこか」という、判断に直結する問いに答えられます。逆にこの4つが欠けていると、列がいくつあっても答えられません。
なお、これから新規に開拓するための名簿づくりは、これとは別の話です。そちらは電気工事会社の営業リスト、無料でどこまで作れるかにまとめてあります。既存の取引先の表と新規の名簿を1枚に混ぜると、両方とも使えなくなります。
続ける手間を、道具の側に寄せる
リレーションログは、いま挙げた4つを中心に置いた営業の記録ツールです。設計の考え方はひとつで、人が判断するための事実だけを並べ、点数や評価をシステムが勝手に付けないことです。
会社の一覧には、最後に接点を持ってから何日経っているか、これまで何回接点があったか、進行中の案件と受注実績が並びます。NDA や契約書を交わした相手には、一覧の上でその印が付きます。しばらく動きのない会社は、開いた画面のうえで名指しで挙がります。人には「案件を運ぶ人」「担ぎ先を決める人」といった役割を記録できるので、その人が異動・退職したときに「誰を見失ったか」が会社に残ります。

いま使っている Excel は、そのままアップロードすれば列を読み取って取り込めます。表記ゆれもある程度は吸収します。作り直す必要はありません。
正直に言うと、こちらでは扱わないもの
冒頭で分けた2つのうち、施工のための書類管理(建設業許可の期限、保険証書、作業員名簿、安全書類)はリレーションログでは扱いません。 そこは専用のサービスがありますし、無理に1つにまとめると、どちらも中途半端になります。
扱うのは付き合いのほうだけです。ここは割り切っています。
効果は「受注額」ではなく、この数え方で測ってください
導入して売上が何割増えます、という言い方はしません。代わりに、始めた日と3か月後に、同じ数え方を1回ずつしてみてください。
「取引先のうち、3か月以上こちらから接点を持てていない会社は何社か」
この数が減っていれば効いています。減っていなければ、道具ではなく運用のほうを見直したほうがいい。営業の記録は、売上より先にこの数字に出ます。
そのつながりを、資産に変えよう。
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まずは画面を見るだけでも構いません。
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