実務ガイド

電気工事会社の営業リスト、無料でどこまで作れるか

建設業許可名簿の使い方と、つまずきどころ

2026-08-18読了目安 5分

新規の元請や取引先を開拓しようと思ったとき、最初にぶつかるのが「そもそも、どこに声をかければいいのか」です。営業リストを売る業者はたくさんありますが、実は電気工事業をはじめとする建設業には、国と都道府県が公開している無料の名簿があります。

先日、私たち自身が営業リストをゼロから作る機会があったので、そのときに分かったこと——無料でどこまでできて、どこでつまずくのか——を、実体験としてまとめます。

建設業許可業者名簿という公開データ

建設業の許可を持つ会社は、都道府県(知事許可)または国(大臣許可)に登録されています。この名簿は公開情報で、多くの都道府県がウェブで公開しています。

載っている情報は都道府県によって多少違いますが、おおむね商号・代表者名・所在地・電話番号・許可業種・資本金まで載っています。つまり「〇〇県内で電気工事業の許可を持つ会社の一覧」が、住所と電話番号つきで手に入るということです。営業リストの素材としては、これ以上ないくらい網羅的で正確です。許可制度に基づく登録なので、漏れがないのが最大の強みです。

ただし、県によって扱いがまったく違う

ここが最初のつまずきどころでした。実際に関東の各都県を調べた結果がこうです(2026年8月時点。公開状況は変わることがあるので、必ず各県のページで確認してください)。

  • Excelで丸ごと公開している県がある。私たちが確認した範囲では、神奈川県と栃木県は名簿全体をExcelでダウンロードでき、毎月〜定期的に更新されていました。これが一番ありがたい形です
  • 公開はしているが、営業目的では使えない都県がある。東京都は名簿をExcelで公開していますが、ページに「商用利用・二次配布を許可しない」旨が明記されています。営業DMの宛先に使うのは商用利用です。使ってはいけません
  • 一括の名簿を公開していない県がある。千葉県や埼玉県は一括ダウンロードの形では公開しておらず、国土交通省の検索システムを案内しています

3つ目の国交省の検索システム(建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)は、1社ずつ調べるには便利ですが、営業リスト作りには向きません。表示は50件ずつで一括出力がなく、資本金も出ないため、後述する「規模での絞り込み」ができないからです。

つまり「無料で作れるか」の答えは、狙うエリアの県がどの型かで決まります。名簿をExcelで公開していて利用制限のない県なら、無料でかなりの精度まで行けます。

名簿から「声をかける価値のある会社」に絞る

名簿は網羅的すぎるのが逆に問題で、たとえば神奈川県の名簿は約2万9千社ありました。ここから絞るときに使える軸が、名簿の中に2つあります。

1つ目は資本金。名簿に従業員数は載っていませんが、資本金が規模のおおまかな代理になります。私たちの場合は「資本金1,000万〜5,000万円」で絞りました。1,000万円未満は一人親方や数名の会社が多く、5,000万円超は中堅以上が混ざってくるからです。もちろん外れはありますが、目安としては十分機能します。

2つ目は保有業種の数。建設業許可は業種ごとに取るので、名簿には各社がどの業種の許可を持っているかが載っています。ここで面白いのは、保有業種が少ない会社ほど、その業種が本業である可能性が高いことです。電気工事の許可だけ、あるいは電気+管+消防くらいの会社は電気設備の専門会社。十数業種を持っている会社は総合建設業で、「電気の許可も持っているだけ」のことが多い。私たちは「電気工事業の許可あり×保有業種4つ以下」で絞りました。

この2軸だけで、神奈川の約2万9千社は約1,200社まで絞れました。手作業ではなく、Excelの絞り込みでできる範囲です。

無料で足りない部分と、有料サービスの相場観

無料の名簿でどうしても分からないのが従業員数です。経営事項審査(経審)のデータには技術職員数がありますが、社名を知っている会社を1社ずつ引く仕組みで、一覧での絞り込みには使えません。

従業員数で正確に絞りたい場合や、名簿が使えない都県をカバーしたい場合は、企業データベースのサービスを使うことになります。私たちが比較した範囲では、1件数十円で必要な分だけ買い切れるサービス(検索とヒット件数の確認までは無料のものもあります)から、月額数千円〜数万円の定額制まで幅があります。数百件のリストなら1万円前後で収まる計算で、「地元の重点エリアだけ有料で精度を買い、他は無料名簿で広く」という使い分けが現実的でした。

意外な落とし穴:作ったリストの「置き場」

ここまでで、リストは作れます。私たちも最終的に1,400社超のリストになりました。ところが、作ってから気づいた問題がありました。このリスト、どこに置いておくのか?です。

顧客管理の仕組みに入れてしまうと、まだ一度も話したことのない1,400社が「取引先」に混ざって、本当に大事な既存の関係が埋もれます。かといってExcelのままだと、「どの会社にDMを送ったか」「誰から反応があったか」を別のファイルで管理することになり、反応があった会社を顧客管理側に手で転記する二重管理が始まります。

実は私たち自身がこの二重管理にはまりかけて、その経験から、リレーションログに営業リストという置き場を作りました。冷たいリストはプールとして別に持ち、DMや架電などの施策をかけた記録だけを付けておく。そして反応があった会社だけを、ワンクリックで会社・担当者・接点として「引き上げる」。リストの段階では放置アラートも集計も鳴らさず、関係が始まった瞬間から普段の顧客管理に合流する、という設計です。

リレーションログの営業リスト取り込み画面。既存の会社との重複を取り込む前に突き合わせる
実際の画面:CSV/Excelをドロップすると列の対応を自動で推測し、既存の取引先との重複を取り込む前に突き合わせる

取り込みのときには、すでに取引のある会社と同じ会社がリストに混ざっていないかも突き合わせます。既存のお客様にコールドDMを送ってしまう事故は、リスト営業で一番気まずい失敗だからです。

まとめ:無料でここまでできる

整理します。

  1. 建設業許可業者名簿で、対象県の全許可業者(社名・住所・電話・資本金・業種)が手に入る——ただし県の公開形式と利用条件を必ず確認する。商用利用を禁じている都県のものは営業に使わない
  2. 資本金×保有業種数で、規模と専業らしさをExcelだけで絞り込める
  3. 従業員数など無料で埋まらない部分は、1件数十円の買い切り型サービスで補える
  4. 作ったリストは既存顧客と混ぜず、施策の記録と「反応があったら引き上げる」動線を持つ置き場で管理する

リストを作ること自体は、お金をかけなくてもここまでできます。差がつくのは、作ったあと——送りっぱなしにせず、反応を拾って関係につなげる部分です。

リレーションログの営業リスト機能は30日間の無料トライアルで使えます。手元のExcelリストがある方は、そのまま取り込んで(列の対応は自動で推測します)、重複チェックと施策記録がどれくらい手間を減らすか、自社のリストで試してみてください。

そのつながりを、資産に変えよう。

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