2,032社の名簿で、打てる手は1つだけでした
名簿の値打ちは件数ではなく、住所・電話・フォームの3列がどれだけ埋まっているかで決まる
営業リストの話をするとき、たいてい最初に出てくるのは件数です。「2,000件あります」「5,000件買いました」。
私たちも同じでした。関東のIT関連企業を法人番号で名寄せして、2,032社の名簿を持っています。前回・前々回の記事で、この名簿の住所を国のデータベースから埋めた話と、規模で絞ったら178社まで減った話を書きました。
そのあと、別の数え方をしてみました。件数ではなく、「この名簿で、いま何が打てるか」で数えたのです。
結果はこうでした。
手紙が出せる 2,031件。電話がかけられる 0件。フォームが送れる 0件。
2,032社あって、打てる手は1つだけでした。
「使える名簿」の定義が、いつのまにか件数になっている
名簿を見るとき、私たちは無意識に件数を品質だと思っています。多いほうがいい、と。
でも件数は、打てる手の数を1つも保証しません。 2,032社に手紙は出せても、そのうち1社にも電話はかけられない。上がその実測です。
見るべきなのは件数ではなく、打ち手ごとの埋まり率でした。
打てる手は、3つしかない
新規開拓で相手に届く手段を並べると、意外と少ないことが分かります。
| 打ち手 | 名簿に入っていないと打てない欄 |
|---|---|
| 手紙・DM | 住所 |
| 電話 | 電話番号 |
| 問い合わせフォーム | フォームのURL(ホームページのURLではなく) |
訪問はどれかの手段でアポを取ってからの話なので、名簿の段階では上の3つです。打ち手が3つなら、見る列も3つです。
ここで1つ、細かいようで効く区別があります。「ホームページのURL」と「問い合わせフォームのURL」は別の列です。 ホームページが入っていても、フォームのURLが空なら、その行は今日フォーム営業に回せません。誰かがサイトを開いて探すまでは打てない。この2つを1列にまとめている名簿は、フォーム営業ができる件数を実際より多く見せます。
実際に数えてみた
2,032社を、この3列で数えた結果です。
| 打ち手 | 打てる | 率 |
|---|---|---|
| 手紙・DM | 2,031件 | 99% |
| 電話 | 0件 | 0% |
| フォーム | 0件 | 0% |
住所は国のデータベース(法人番号から引ける公的なデータ)で埋まったので99%。電話番号とメールアドレスは、そこからは返ってきません。 元の名簿にも入っていませんでした。だから0件です。
これは名簿が粗悪だという話ではありません。出所が決まった時点で、打てる手も決まっていたという話です。公表資料から組んだ名簿は、住所には強く、電話には弱い。当たり前のことですが、件数だけを見ていると最後まで気づきません。
「打てない」と「まだ調べていない」は、別のことです
もう1つ数えました。ホームページのURLが入っている行が321件ありました。およそ6社に1社です。
この321件は、フォームのURLが空なので今日は打てません。でも、サイトを開けばフォームが見つかるかもしれない。つまりこの行は「打てない」のではなく、「まだ調べていない」のです。
- 打てない(探したが無かった)→ 押しても何も起きない
- まだ調べていない(ホームページはある。フォームは未確認)→ 調べれば打てるかもしれない
この2つを同じ「空欄」として扱っていると、毎回同じ行を開いて、毎回同じように何も見つからず、それを覚えていないという状態になります。名簿が2,000行あるとき、これは相当な時間です。
逆に、空欄に理由を書き分けるだけで、次に手をつける場所が決まります。 私たちの名簿でいえば「フォームを探しに行く価値があるのは321行」。残り1,711行はホームページ自体が無いので、探しても出てきません。
名簿を買う前に、この3つを聞いてください
有料の名簿を買うときは、件数と単価が先に出てきます。1件あたり数十円、という形で。
その前に、3列の埋まり率を聞いてください。
- 住所が入っているのは何%か
- 電話番号が入っているのは何%か(代表番号か、部署の番号か)
- 問い合わせフォームのURLが入っているのは何%か(ホームページのURLと別の列になっているか)
件数×単価だけで比べると、打てない行にも同じ金額を払うことになります。 5,000件のうちフォームURLが2割しか入っていないなら、フォーム営業のために買った名簿としては1,000件ぶんです。
そして買ったあとも、受け取った日に同じ3列を数え直してください。
メールアドレスを打ち手に数えない理由
3つの打ち手にメールが入っていないことを、不思議に思われるかもしれません。理由は2つあります。
1つは線引きです。名簿に載っている info@ は、相手が営業を受け付けるために置いたものとは限りません。問い合わせフォームは、相手が「ここに連絡してください」と置いたものです。相手が窓口として用意したかどうか——この線で分けると、フォームと info@ は別の側に来ます。
もう1つは法律です。広告・宣伝のメールには特定電子メール法という別のルールがかかります。例外はありますが、少なくとも「名簿に載っていたから送ってよい」とは言えません。
メールアドレスを集めておくこと自体は構いません。打ち手として数えないだけです。
Excelなら、5分で数えられます
道具は要りません。名簿がExcelにあるなら、それだけで終わります。
- 列を3つ用意する(住所/電話番号/フォームURL)。無ければ空の列を足す
- それぞれの列で
=COUNTA(範囲)を出す。これが「打てる件数」 - 全体の行数で割る。これが埋まり率
これだけです。出てきた3つの数字が、その名簿で今日打てる手のすべてです。
余裕があれば、もう1列足してください。「調べたけれど無かった」に印をつける列です。空欄のままにせず、「×」でも「済」でも構いません。これがあるだけで、来月の自分が同じ行を開かずに済みます。
この数え方で分かること、分からないこと
分かるのは「打てるかどうか」だけです。「当たるかどうか」は分かりません。
住所が2,031件埋まっているのは、手紙が2,031通出せるという意味であって、反応が返るという意味ではありません。埋まり率は打席の数であって、打率ではない。
それでも先に数える価値はあります。次に何から手をつけるかが決まるからです。 私たちの場合、数えた日に「フォーム営業をやるなら、まず321行のサイトを開くところから」と決まりました。それまでは2,032件という数字だけを見て、何から始めるか決められずにいました。
まとめ
- 名簿の値打ちは件数ではなく、打ち手ごとの埋まり率で決まる
- 打ち手は3つ。住所・電話番号・フォームURLの3列を数えればいい
- ホームページのURLとフォームのURLは別の列にする
- 空欄は「打てない」と「まだ調べていない」に書き分ける
- 名簿を買う前に3列の埋まり率を聞き、受け取った日に数え直す
2,032社の名簿で打てる手が1つだけだと分かったのは、少し情けない発見でした。でも、1つだと分かっているほうが、2,032件だと思っているよりずっとましです。 打つ手が決まるからです。
ここまでの内容は、Excelだけで実行できます。道具は要りません。
私たちが作っているリレーションログには、こうして組んだ名簿をためておく「営業リスト」という置き場があります。行ごとに手紙・電話・フォームのどれが打てるかが印で並び、一覧の上には「2,032件 ─ 手紙 2,031(99%) / 電話 0(0%) / フォーム 0(0%)」という要約がそのまま出ます。「まだ調べていない」と「調べたが無かった」も別の印なので、押しても変わらない行に何度も戻ることはありません。
法人番号が入っていれば、住所は国のデータベースから埋まります(プロプランに含まれます。件数の上限はありません)。ホームページやフォームをAIに探させることもできますが、こちらは月300件までで、見つかるのはおおよそ8割です。全部埋まる、とは言えません。
関連:営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てください(住所が100%埋まった話)/ペルソナで絞ったら、2,032社が178社になりました(絞る前に数える話)/機能と料金
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