営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てください
2,032社を国のデータベースにぶつけたら、埋まったのは大企業のほうだった
前回、IT受託の営業リスト、無料でどこまで作れるかという記事で、公的なデータだけで関東2,032社の名簿を組む手順を書きました。
その記事には、こう書いてあります。
国が運営する法人情報サイト(gBizINFO)には、法人番号で引くと住所・Webサイト・従業員数などが返る仕組みがあり、法人番号を背骨に、骨格リストへ機械的に肉付けできるのです。
書いておきながら、私たちはそれをやっていませんでした。
代わりにやったのは、AIに会社名から検索させてホームページを探す仕組みを作ることでした。動くには動きます。ただ費用がかかり、当たるのは8割です。無料で確実に引ける手段が目の前にあるのに、です。
先日それに気づいて、実際に2,032社ぶんを引いてみました。結果は予想と違いました。 その数字が、この記事の中身です。
連絡先の無いリストは、1社も当たれない
まず、私たちが作ったリストの中身を正直に書きます。4項目しかありません。
法人番号/事業者名/都道府県/補助金の採択年。
住所も電話番号もホームページのURLも入っていません。都道府県までしか分からないので手紙は出せない。電話番号が無いのでかけられない。URLが無いので問い合わせフォームも送れない。
狙う相手としては悪くないリストでした。IT導入補助金を実際に通している会社なので、活動していて予算も動いている。それでも当たる手段がゼロなら、名簿としては使えません。
リストを買う人が本当に買っているのは「誰を狙うか」ではなく「どう連絡するか」のほうだ、と気づいたのはこのときです。
法人番号は、無料のデータベースを開ける鍵
ここで効いたのが法人番号でした。国が法人1つに1つ振っている13桁の番号です。登記されていれば必ずあり、社名の表記ゆれでも、移転でも、改称でも変わりません。
そして経済産業省が「gBizINFO」というサイトを運営していて、法人番号を投げると、その会社の公開情報が返ってきます。無料です。 利用にはメールアドレスでの申請が要りますが、審査は無く、10分ほどで使えるようになります。
会社名で検索すると「株式会社」の位置や旧字で外しますが、法人番号なら完全に一致します。推測が要りません。
だから手順としては単純です。手元のリストの法人番号を1件ずつ投げて、返ってきた情報を横に並べる。リストとリストを、番号でぶつける。
実際にぶつけた結果
2,032社ぶんを引きました。1件ずつ、0.2秒間隔で、7分ほどです。
まず、鍵としては完璧でした。 法人番号で一致したのが2,031/2,032社(100%)。見つからなかったのは1社だけです。会社名で照合していたら、こうはいきません。
次に、何が埋まったか。ここが本題です。
| 項目 | 埋まった数 | 割合 |
|---|---|---|
| 所在地 | 2,031 | 100% |
| 従業員数 | 677 | 33% |
| 代表者名 | 461 | 23% |
| 事業概要 | 397 | 20% |
| ホームページ | 317 | 16% |
私が期待していたのはホームページでした。16%です。 6社に1社しかありません。
一方で、まったく期待していなかった所在地が100%埋まりました。 2,031社すべてに番地まで入っています。
16%の正体は「誰がその情報を入れたか」だった
なぜホームページだけ極端に低いのか。規模別に数えると、答えが出ました。
| 会社の規模 | 社数 | ホームページあり | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1〜9名 | 148 | 40 | 27% |
| 10〜49名 | 154 | 54 | 35% |
| 50〜299名 | 205 | 104 | 51% |
| 300名以上 | 170 | 118 | 69% |
| 従業員数が不明 | 1,351 | 0 | 0% |
従業員数が分からない1,351社は、ホームページも1社も入っていません。 ちょうどゼロです。
つまりgBizINFOの詳細情報(従業員数・ホームページ・代表者名・事業概要)は、まとめて入っているか、まとめて空かのどちらかで、中間がない。会社が自分で自社プロフィールを登録したかどうかという1本の線で分かれています。
そして大きい会社ほど登録している(300名以上で69%)。裏返すと、中小ほど空です。
これは無料のデータベース全般に言えることだと思います。 国が持っている情報(登記由来の所在地)は全社ぶんあり、会社が自分で出した情報は、出す余裕のある会社のぶんしかない。 「無料で埋まるか」は、その項目を誰が入れたかで決まります。
この数字で、できることとできないことが分かれた
引く前と後で、選択肢の形が変わりました。
開いたのは、住所を使う当たり方です。 所在地が2,031社すべてに入ったので、郵送でもFAXでも、住所さえあれば届く手段は全部使えるようになりました。 引く前はゼロだったので、ここが一番大きい変化です。
開かなかったのは、フォーム営業です。 ホームページが埋まったのは317社だけで、1,714社は空のまま。ここを埋めるには、会社名から検索して探すしかありません。AIにやらせる方法もありますが、費用と時間がかかります。
そして絞り込みも、思ったほど効きませんでした。 従業員数が分かるのは680社だけです。「10〜299名の会社に絞る」といった条件を掛けられるのはこの範囲で、残る1,351社は規模すら分からないので、絞りようがありません。
つまり無料で手に入ったのは「全社の住所」と「一部の会社の詳細」で、この2つは性質が違います。 前者はそのまま母集団として使えますが、後者は「たまたま登録していた会社」に偏った集団です。絞り込みの条件に使うと、知らないうちに大企業寄りのリストになります。 ここは注意したほうがいい。
住所だけでいいなら、もっと確実な入口がある
補足を1つ。ホームページが要らず住所さえあればいいなら、国税庁の「法人番号システム Web-API」のほうが確実です。
返ってくるのは商号・所在地・法人番号の基本3情報だけですが、これは登記の大元なので全法人ぶんあります。 無料で、アプリケーションIDの申請が要ります。gBizINFOと国税庁で情報が食い違ったら、国税庁のほうを信じてください。
「手紙を出したいだけ」なら、こちらで足ります。
まとめ:リストにお金をかける前に
営業リストは「買うもの」だと思われがちですが、狙いを決める名簿と、連絡先の名簿は、別々に無料で手に入ります。 繋ぐ鍵さえあれば、自分で組めます。
だから、リストを買う前にやることは1つです。
手元のリストに、法人番号の列があるか見てください。
- あれば — 国の無料データベースと突き合わせられます。少なくとも住所は全社ぶん埋まるので、郵送は届きます
- 無ければ — 会社名で照合するしかなく、表記ゆれで外れます。買い直すか、別の手段で探すか、という話になります
そして、無料で埋まる項目には偏りがあることも覚えておいてください。私たちは「補助金を通した会社ならホームページくらい登録しているだろう」と思っていました。6社に1社でした。
実際に引いてみるまで、この数字は誰にも分かりません。7分で分かります。
ここまでの内容は、Excelと無料のAPIだけで実行できます。道具は要りません。
私たちが作っているリレーションログには、こうして組んだ名簿をためておく「営業リスト」という置き場があります。取り込むときに法人番号で既存の取引先と突き合わせるので、すでにお付き合いのある会社に間違ってDMを送る事故を止められます。同じ名簿を二度取り込んでも、重複として止まります。
ホームページが空の行をAIに探させる機能もありますが(プロプラン・月300件まで)、この記事のとおり、まず無料で埋まるところは無料で埋めてください。 そのほうが速くて確実です。
建設業のように業種の名簿がある場合の話は、電気工事会社の営業リスト、無料でどこまで作れるかに書きました。
そのつながりを、資産に変えよう。
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まずは画面を見るだけでも構いません。
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