ペルソナで絞ったら、2,032社が178社になりました
狙う規模をひとつ上にずらしたら、社数もホームページ率も同時に上がった
前回、営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てくださいという記事で、連絡先の入っていない2,032社の名簿を国のデータベースにぶつけた話を書きました。住所は2,031社すべてに入りました。
そこで終わりだと思っていました。 住所が揃ったのだから、あとは狙う相手を絞るだけだと。
絞ってみたら、2,032社が178社になりました。
減った理由は2つあって、どちらも名簿を買う前に知っておく価値があるものでした。そして、たまたま狙う規模をひとつ上にずらしてみたら、社数もホームページ率も同時に上がりました。 その話を書きます。
絞り込みの条件は、先に決めてあった
営業リストを作るとき、たいてい先にペルソナを決めます。私たちもそうしました。
「従業員5〜30名の会社」。
理由は素直なものです。大きすぎる会社はすでに何かのツールを入れているし、決裁も重い。小さすぎると予算が出ない。その真ん中、というつもりでした。
名簿には法人番号が入っていて、国のデータベースからは従業員数も返ってきます。条件を掛けるだけです。
掛けました。178社でした。
2,032社の8.8%です。
減った理由①:従業員数が分かるのが、3社に1社しかない
まず、そもそもの母数が小さかった。
2,032社のうち、従業員数が分かったのは680社。33.5%です。
前回の記事に書いたとおり、国のデータベースの詳細情報は「会社が自分で自社プロフィールを登録したかどうか」で分かれます。登録していない会社は、従業員数もホームページも、まとめて空です。
つまり絞り込みの条件に使えるのは、最初から3社に1社だけでした。残り1,352社は、条件を掛けた瞬間に規模が分からないという理由で外れます。
ここで大事なのは、外れた1,352社が「条件に合わない会社」ではないということです。合うかどうか分からない会社です。この2つは意味がまったく違います。
減った理由②:分かっている680社が、大きい会社に偏っている
そして、その680社の中身がこうでした。
| 従業員数 | 社数 | ホームページあり |
|---|---|---|
| 1〜9名 | 148 | 40(27%) |
| 10〜29名 | 98 | 34(35%) |
| 30〜49名 | 56 | 20(36%) |
| 50〜99名 | 60 | 23(38%) |
| 100〜299名 | 145 | 81(56%) |
| 300〜999名 | 105 | 65(62%) |
| 1,000名以上 | 65 | 53(82%) |
100名以上が315社。分かっている680社の46%です。 1,000名以上も65社あります。
自社プロフィールを登録するのは、それができる余裕のある会社です。 だから「詳細が分かっている会社」を集めると、それだけで大きい会社の集まりになります。
私たちが狙おうとしていた5〜30名は、この偏った680社の中の、さらに一部でした。178社という数字は、そうやって出てきたものです。
そこで、狙いをひとつ上にずらしてみた
ここで方針を疑いました。そもそも5〜30名が本当に本命なのか。
私たちが作っているのは、営業の関係管理のツールです。営業が1人しかいない会社では、記録を共有する相手がいません。 逆に営業が3人、5人といる会社なら、「誰がどこと話しているか」が見えないことそのものが問題になります。月に数万円のツールに予算が出るのも、そのくらいの規模からです。
つまり本命は、ひとつ上の帯かもしれない。
数え直しました。
| 絞り方 | 社数 | ホームページあり |
|---|---|---|
| 5〜30名 | 178 | 57(32%) |
| 30〜299名 | 261 | 124(48%) |
| 50〜299名 | 205 | 104(51%) |
| 50〜999名 | 310 | 169(55%) |
社数が増えて、ホームページ率も上がりました。
178社・32% だったものが、205社・51% になる。手紙を出す先としての母数が増えて、しかも半分にホームページがあるのでフォーム営業にもそのまま渡せます。
同じ偏りが、狙う場所で敵にも味方にもなる
なぜ両方が同時に上がるのか。理由は1つです。
「自社プロフィールを登録しているのは大きい会社」という偏りは、小さい会社を狙うときには邪魔でした。狙いたい層のデータが、そもそも入っていないからです。
でもひとつ上の帯を狙うなら、その偏りは味方になります。 狙いたい層ほど登録率が高く、ホームページも入っている。絞れる相手が、そのまま当たれる相手になります。
同じ1つの事実が、狙う場所を変えただけで、欠点から利点に変わりました。
だから、絞る前に数える
ここから引き出せる手順は単純です。
絞り込みの条件を決める前に、絞ったら何社残るかを数えてください。
多くの場合、順番が逆になっています。理想の顧客像を先に決めて、条件に落として、掛けて、残った数を見て初めて驚く。 私たちがまさにそれでした。
先に数えると、判断が変わります。
- 母数のうち、その項目が入っているのは何%か(うちは33.5%でした)
- 入っている集団は、どちらに偏っているか(うちは大きい会社側でした)
- 帯をひとつ動かすと、何社動くか(うちは178 → 205 でした)
この3つは、名簿さえあれば5分で数えられます。 条件を決めてから数えるのではなく、数えてから条件を決める。
絞らない、という選択肢もある
もうひとつ、正直に書いておきます。
手紙を出すだけなら、絞らないほうが当たる場合があります。
1通あたりの費用は数十円です。2,000通出すのと200通出すのとで、費用の差は数万円。そのために66%を「規模が分からないから」という理由で捨てるのは、無駄打ちを減らしているのではなく、機会を捨てています。
絞ることに意味があるのは、1件あたりのコストが高い当たり方——電話、訪問、個別に書いた提案——のときです。当たり方によって、絞る強さを変える。 名簿は1つでも、使い方は1つではありません。
この方法でできないこと
前回と同じ断りを、もう一度だけ書きます。
国のデータベースからは、電話番号もメールアドレスも返ってきません。 埋まるのは住所・郵便番号・代表者名・従業員数、そしてホームページです。しかも代表者名と従業員数は、登録がある会社だけ(実測で2〜3割)。
そして同じ会社の支店・営業所は、本社と同じ法人番号を持ちます。 だから返ってくる住所は登記上の本店です。名簿に支店の行が混ざっていると、そこには本社の住所が入ります。差し込み印刷にかける前に、そこだけは見てください。
まとめ
営業リストを絞り込むとき、私たちは178社という数字を見て初めて「減りすぎだ」と気づきました。条件を決めるのが先で、数えるのが後だったからです。
順番を入れ替えるだけで、判断の材料が先に手に入ります。
- 絞ったら何社残るかを、条件を確定する前に数える
- その項目が入っている集団の偏りを見る(どちら側に寄っているか)
- 帯をひとつ動かしたら何社動くかを見る(境目は思ったより効く)
そして——理想の顧客像は、正しくても最適とは限りません。 私たちは「小さい会社ほど困っているはずだ」と思っていました。数えてみたら、ひとつ上の帯のほうが、当たれる相手が多かった。
名簿は、絞る前に一度、眺めたほうがいい。
ここまでの内容は、Excelと無料のAPIだけで実行できます。道具は要りません。
私たちが作っているリレーションログには、こうして組んだ名簿をためておく「営業リスト」という置き場があります。法人番号があれば住所は国のデータベースから無料で埋まり、どの欄が空いているかは一覧で読めます。「まだ調べていない」と「調べたが無かった」も分けて出るので、押しても変わらない行に何度も押すことはありません。
関連:営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てください(前編・住所が100%埋まった話)/機能と料金
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まずは画面を見るだけでも構いません。
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