実務ガイド

ペルソナで絞ったら、2,032社が178社になりました

狙う規模をひとつ上にずらしたら、社数もホームページ率も同時に上がった

2026-08-26読了目安 5分

前回、営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てくださいという記事で、連絡先の入っていない2,032社の名簿を国のデータベースにぶつけた話を書きました。住所は2,031社すべてに入りました。

そこで終わりだと思っていました。 住所が揃ったのだから、あとは狙う相手を絞るだけだと。

絞ってみたら、2,032社が178社になりました。

減った理由は2つあって、どちらも名簿を買う前に知っておく価値があるものでした。そして、たまたま狙う規模をひとつ上にずらしてみたら、社数もホームページ率も同時に上がりました。 その話を書きます。

絞り込みの条件は、先に決めてあった

営業リストを作るとき、たいてい先にペルソナを決めます。私たちもそうしました。

「従業員5〜30名の会社」。

理由は素直なものです。大きすぎる会社はすでに何かのツールを入れているし、決裁も重い。小さすぎると予算が出ない。その真ん中、というつもりでした。

名簿には法人番号が入っていて、国のデータベースからは従業員数も返ってきます。条件を掛けるだけです。

掛けました。178社でした。

2,032社の8.8%です。

減った理由①:従業員数が分かるのが、3社に1社しかない

まず、そもそもの母数が小さかった。

2,032社のうち、従業員数が分かったのは680社。33.5%です。

前回の記事に書いたとおり、国のデータベースの詳細情報は「会社が自分で自社プロフィールを登録したかどうか」で分かれます。登録していない会社は、従業員数もホームページも、まとめて空です。

つまり絞り込みの条件に使えるのは、最初から3社に1社だけでした。残り1,352社は、条件を掛けた瞬間に規模が分からないという理由で外れます。

ここで大事なのは、外れた1,352社が「条件に合わない会社」ではないということです。合うかどうか分からない会社です。この2つは意味がまったく違います。

減った理由②:分かっている680社が、大きい会社に偏っている

そして、その680社の中身がこうでした。

従業員数 社数 ホームページあり
1〜9名 148 40(27%)
10〜29名 98 34(35%)
30〜49名 56 20(36%)
50〜99名 60 23(38%)
100〜299名 145 81(56%)
300〜999名 105 65(62%)
1,000名以上 65 53(82%)

100名以上が315社。分かっている680社の46%です。 1,000名以上も65社あります。

自社プロフィールを登録するのは、それができる余裕のある会社です。 だから「詳細が分かっている会社」を集めると、それだけで大きい会社の集まりになります。

私たちが狙おうとしていた5〜30名は、この偏った680社の中の、さらに一部でした。178社という数字は、そうやって出てきたものです。

そこで、狙いをひとつ上にずらしてみた

ここで方針を疑いました。そもそも5〜30名が本当に本命なのか。

私たちが作っているのは、営業の関係管理のツールです。営業が1人しかいない会社では、記録を共有する相手がいません。 逆に営業が3人、5人といる会社なら、「誰がどこと話しているか」が見えないことそのものが問題になります。月に数万円のツールに予算が出るのも、そのくらいの規模からです。

つまり本命は、ひとつ上の帯かもしれない。

数え直しました。

絞り方 社数 ホームページあり
5〜30名 178 57(32%)
30〜299名 261 124(48%)
50〜299名 205 104(51%)
50〜999名 310 169(55%)

社数が増えて、ホームページ率も上がりました。

178社・32% だったものが、205社・51% になる。手紙を出す先としての母数が増えて、しかも半分にホームページがあるのでフォーム営業にもそのまま渡せます。

2,032社を、従業員数で見る 従業員数が分かった 680社(33.5%) 1〜9名148社 10〜29名98社 30〜49名56社 50〜99名60社 100〜299名145社 300〜999名105社 1,000名〜65社 5〜30名で絞ると:178社(うちホームページあり 32%) 50〜299名なら:205社(うちホームページあり 51%) 帯の境目は帯グラフの区切りとぴったりは重なりません(5〜30名は「1〜9名」の一部と「10〜29名」にまたがります) 従業員数が分からない 1,352社 全体の 66% 条件を掛けた瞬間に、 「合わない」ではなく「分からない」 という理由で外れる
実測(2026年8月):従業員数で絞れるのは最初から3社に1社。その680社の中でも、帯をひとつ上に動かすと社数とホームページ率が同時に上がった

同じ偏りが、狙う場所で敵にも味方にもなる

なぜ両方が同時に上がるのか。理由は1つです。

「自社プロフィールを登録しているのは大きい会社」という偏りは、小さい会社を狙うときには邪魔でした。狙いたい層のデータが、そもそも入っていないからです。

でもひとつ上の帯を狙うなら、その偏りは味方になります。 狙いたい層ほど登録率が高く、ホームページも入っている。絞れる相手が、そのまま当たれる相手になります。

同じ1つの事実が、狙う場所を変えただけで、欠点から利点に変わりました。

だから、絞る前に数える

ここから引き出せる手順は単純です。

絞り込みの条件を決める前に、絞ったら何社残るかを数えてください。

多くの場合、順番が逆になっています。理想の顧客像を先に決めて、条件に落として、掛けて、残った数を見て初めて驚く。 私たちがまさにそれでした。

先に数えると、判断が変わります。

  • 母数のうち、その項目が入っているのは何%か(うちは33.5%でした)
  • 入っている集団は、どちらに偏っているか(うちは大きい会社側でした)
  • 帯をひとつ動かすと、何社動くか(うちは178 → 205 でした)

この3つは、名簿さえあれば5分で数えられます。 条件を決めてから数えるのではなく、数えてから条件を決める。

絞らない、という選択肢もある

もうひとつ、正直に書いておきます。

手紙を出すだけなら、絞らないほうが当たる場合があります。

1通あたりの費用は数十円です。2,000通出すのと200通出すのとで、費用の差は数万円。そのために66%を「規模が分からないから」という理由で捨てるのは、無駄打ちを減らしているのではなく、機会を捨てています。

絞ることに意味があるのは、1件あたりのコストが高い当たり方——電話、訪問、個別に書いた提案——のときです。当たり方によって、絞る強さを変える。 名簿は1つでも、使い方は1つではありません。

この方法でできないこと

前回と同じ断りを、もう一度だけ書きます。

国のデータベースからは、電話番号もメールアドレスも返ってきません。 埋まるのは住所・郵便番号・代表者名・従業員数、そしてホームページです。しかも代表者名と従業員数は、登録がある会社だけ(実測で2〜3割)。

そして同じ会社の支店・営業所は、本社と同じ法人番号を持ちます。 だから返ってくる住所は登記上の本店です。名簿に支店の行が混ざっていると、そこには本社の住所が入ります。差し込み印刷にかける前に、そこだけは見てください。

まとめ

営業リストを絞り込むとき、私たちは178社という数字を見て初めて「減りすぎだ」と気づきました。条件を決めるのが先で、数えるのが後だったからです。

順番を入れ替えるだけで、判断の材料が先に手に入ります。

  • 絞ったら何社残るかを、条件を確定する前に数える
  • その項目が入っている集団の偏りを見る(どちら側に寄っているか)
  • 帯をひとつ動かしたら何社動くかを見る(境目は思ったより効く)

そして——理想の顧客像は、正しくても最適とは限りません。 私たちは「小さい会社ほど困っているはずだ」と思っていました。数えてみたら、ひとつ上の帯のほうが、当たれる相手が多かった。

名簿は、絞る前に一度、眺めたほうがいい。


ここまでの内容は、Excelと無料のAPIだけで実行できます。道具は要りません。

私たちが作っているリレーションログには、こうして組んだ名簿をためておく「営業リスト」という置き場があります。法人番号があれば住所は国のデータベースから無料で埋まり、どの欄が空いているかは一覧で読めます。「まだ調べていない」と「調べたが無かった」も分けて出るので、押しても変わらない行に何度も押すことはありません。

関連:営業リストを買う前に、法人番号が入っているか見てください(前編・住所が100%埋まった話)/機能と料金

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