社長しか知らない取引関係を、会社に残す
電気・設備工事会社の「属人化」との付き合い方
「あの元請とのパイプは、社長の代からの付き合いだから」
工事会社の営業の話をしていると、必ずこの種のせりふが出てきます。長い付き合い、顔の見える関係、電話一本で通じる信頼。紹介とリピートで回っている会社にとって、これは間違いなく強みです。
ただ、この強みには裏面があります。その関係が、社長という一人の人間の頭の中にしか存在しないという裏面です。
「契約先」と「案件を運んでくる人」は、一致しない
まず、属人化の正体を分解してみます。
取引の記録として会社に残っているのは、たいてい「契約先」です。元請のA社と基本契約がある、B管理会社から定期的に受注がある——請求書と契約書を見れば分かる情報です。
ところが、実際に案件を運んでくるのは「会社」ではありません。A社の工事部の課長、B社で設備を担当している人、あるいは契約関係すらない設計事務所の所長や、昔の現場で一緒だった別会社の職人——「今度こういう工事があるんだけど」の声は、いつも特定の人からかかってきます。
つまり、会社の帳簿には契約先が残っているのに、売上の本当の源泉である「人」と「紹介の経路」は、どこにも記録されていない。これが属人化の正体です。誰の頭の中にあるかというと、たいてい社長です。
頭の中の関係が消える、3つの場面
記録になっていない関係は、次の3つの場面で音もなく消えます。
相手が異動したとき。案件を運んでくれていた担当者が異動すると、発注が止まります。会社同士の取引は生きているのに、後任と接点がなく、前任者の異動先も知らない。「最近あそこから仕事が来ないな」と気づいたときには手遅れです。
自社の誰かが辞めたとき。営業担当が退職すると、その人が持っていた関係——誰と親しく、どんな経緯で、何を約束していたか——が丸ごと消えます。引き継ぎ書に「A社:継続対応」と一行書いてあっても、関係は引き継げません。
そして、社長自身に何かあったとき。一番語られたくない話ですが、一番大きいのはここです。人脈の大半が社長に集中している会社では、社長が長期で現場を離れた瞬間に、営業が止まります。事業承継の場面で先代の人脈が引き継げず苦労する話は、この業界に限らずよく聞きます。属人化は、平時は強みで、有事には単一障害点です。
精神論では解決しない。記録の形を変える
「情報共有を徹底しよう」という号令で解決した会社を、あまり見たことがありません。共有会議を増やせば現場の時間が減るだけですし、日報に「A社訪問」と書いても、肝心の関係の構造は残らないからです。
残すべきは活動の量ではなく、構造です。具体的にはこの4つの線です。
- 会社と人の線:A社には課長の〇〇さんと部長の△△さんがいて、決裁するのは部長
- 紹介の線:B社を紹介してくれたのは設計事務所の□□さん
- 人と案件の線:いま動いている案件を運んできたのは誰か
- 時間の線:その人と最後に話したのはいつか、次にいつ会うのか
この4本が会社の記録として残っていれば、担当が替わっても「誰に挨拶に行くべきか」「この関係はどこから始まったか」を、記憶ではなく記録で辿れます。逆に言うと、会社名だけの顧客台帳をいくら整備しても、この4本は残りません。台帳の単位が「会社」で止まっていて、「人」と「線」を持てないからです。
会社・人・紹介・案件を、図として持つ
リレーションログは、この「線を残す」ためのつくりになっています。
- 会社の下に人物を登録し、その人の役割——案件を運んでくる人(源泉)なのか、決裁する人なのか——を残せます
- 誰が誰を紹介したかの線を持てるので、「うちの仕事はどの経路から来ているのか」があとから辿れます
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会社・人・案件・自社の担当のつながりはリレーション図として一枚で見えます。口頭で「A社は……」と説明する代わりに、図を見せれば引き継ぎになります
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打ち合わせのメモを貼れば、AIが会社・人物・案件・やることに整理して記録するので、「記録のための残業」は増やしません
- そして人物ごとに最後に話した日が残り、大事な相手との接点が空きすぎたら、システムの側から知らせます
社長の頭の中を、そっくりそのまま吐き出す必要はありません。まずは大事な取引先20〜30社ぶんの「人」と「紹介の線」だけで、営業の風景はかなり変わります。

営業会議が変わる——5つの問いで回す
関係が記録になると、営業会議の質問が変わります。「今月の見積はいくら?」だけの会議から、こういう会議へ:
- 見積を出したまま止まっている案件はないか
- 大事な取引先で、60日以上話していない担当者はいないか
- 最近異動した重要人物はいないか。後任と会えているか
- 完工したまま、次の接点を決めていない顧客はないか
- 社長しか関係を持っていない会社は、どこか
5つ目が、この記事の主題そのものです。この問いに答えられる状態を作ること自体が、属人化対策です。そしてこの5つは、勘や記憶ではなく、記録があれば機械的に一覧できる問いです。
属人化を「なくす」のではなく、「会社の資産に写す」
誤解のないように書いておくと、社長の人脈や顔の利く関係そのものは、なくすべきものではありません。それはこの商売の核です。
やるべきなのは、その関係を社長個人の資産から、会社の資産へ写しておくことです。写してあれば、人が替わっても関係は続き、いざというときに会社が止まらず、そして将来、事業を誰かに引き継ぐときに「帳簿には載らない一番大きな資産」を一緒に渡せます。
リレーションログは30日間、全機能を無料で試せます。最初の一歩としておすすめしたいのは、大きな導入プロジェクトではなく、社長自身が、大事な取引先20〜30社の「人」と「紹介の線」を入れてみることです。入れ終わったリレーション図を眺めたとき、「この線、自分しか知らなかったな」がいくつ見つかるか——それが、この仕組みが御社に要るかどうかの答えになります。
そのつながりを、資産に変えよう。
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